大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-







あっという間に、星高に入学して一ヶ月が過ぎた。



昨日、高校はじめての定期テストが終わって、来週には遠足が予定されていることもあり、クラスはどこか浮ついた雰囲気だ。




「じゃあ、ここからは委員長に任せて、遠足のグループ決めしてもらうぞ」




担任の野村先生は、ベテランのおじさん先生。


適度に力が抜けているので喋りやすくて、生徒たちに好かれている。



生徒たちだけで決められることは生徒たちに任せて、自主性を育てる、っていうのが野村先生の主義らしい。



『先生が楽したいだけなんじゃねーの』なんて冗談を言っていた男子もいたけど、先生は笑って受け流していた。




「じゃ、委員長、たのんだぞ!」




そう言って先生に肩を叩かれ、にこりとさわやかな笑みで応えているのは、うちのクラスの学級委員長、高田くん。




「じゃあ、はじめます。

さっさと決めたいと思ってるから、みんな協力よろしく」




高田くんが黒板の前でそう言うと、クラスのみんなが「はーい」と答えた。



頭が良くて、テニス部のエースで、しっかり者で責任感が強くて、でも、全然いばったり自慢したりすることがない。


だからすごく人望があって、クラスのみんな、高田くんの言うことには文句も言わずに従うのだ。




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