恋した責任、取ってください。
すると、話を聞いてすぐに普段のクールビューティーに戻った恵麻さんは、歓迎会を先に越された悔しさを若干滲ませつつもそう言う。
ジェントルマンなんて言葉を出して意外そうな口振りで言った恵麻さんだけど、それはたぶん私が大地さんに絡みついて離れなかったから仕方なくおぶってくれたのではないだろうか。
そうして改めて冷静に状況を分析してみると、おんぶももちろん恥ずかしいけど、酔いに任せて“好き”とか口走ったりしてないよね!?と自分の言動にも自信がなくなってくる。
ああもう、昨日の私、爆発しろ。
そんなことを思っていると。
「でも、珍しいこともあるのね。なっちゃんみたいなスモールサイズの女の子に大地がそんなことするなんて。今日、雪が降るかも」
「へ?」
恵麻さんの優しげだけど意味深な声が頭上から降ってきて、私は思わず目を瞬かせる。
今の、どういう意味だろう……。
「おっと。いくら双子でも、ここからはプライバシーだから。もしも本気で気になるなら大地に直接聞くれる? さ、仕事始めるわよ」
けれど恵麻さんは大いに含みのある言い方で話を終わらせると、私の背中をポンと叩いて自分のデスクに戻っていってしまった。
恵麻さんはチーム・ブルスタ内でチーフのポジションに就いていて、言うなれば私たち一般社員の個々の仕事を統括する立場にあたる。
選手一人一人が毎日自己申告してくる体重や体調を把握して栄養士さんと適切なアドバイスを行ったり、植樹ボランティアや街の清掃活動、子ども向けバスケ教室など、年に数回開催しているそれらのイベントを取り仕切ったりと、サポートチームの女ボスといったところだ。
あんな言い方をされると嫌でも気になってしまうけど、それはそれ、これはこれ。
急いで自分のデスクに向かうと、両隣の佐伯さんと鈴野さんに指示を仰ぎ、パソコンが立ち上がるのを待って今日の仕事に取り組んだ。