理想の恋人って!?
 怪訝そうに振り返った晃一に、私は唇を尖らせて言う。

「晃一だってお世話になったんだから、割り勘」
「え」

 晃一が瞬きをした。

「何よ、バイト代入ったから奢ってやるとか言ってくせに、実は金欠だったとか?」
「そうじゃない」
「じゃあ、お腹減ってないの?」
「違う」
「それなら、いいいじゃない。一緒に食べよ」

 誠一さんが大きくドアを開けてくれたので、私は不満顔の晃一の背中を押して、部屋へと押し込んだ。

 誠一さんも気になるけど、なんだか煮え切らない態度の晃一のことも気になるじゃない?
< 61 / 119 >

この作品をシェア

pagetop