理想の恋人って!?
「いいよ、わかった」

 私はため息をついて言った。こうなったら覚悟を決めて、晃一の好きな清楚なワンピース姿でデートをしてやろうじゃない! それでも絶対に晃一は私を好きにならないだろうし、私だってスーツを着たからって晃一を好きになったりしない。

「じゃあ、日曜はサッカー部の練習試合があるから、明日の土曜でどう?」

 晃一が言った。

「いいよ。じゃあ、一緒にボウリングでもする?」

 私の言葉を聞いて、美佳が首をぶんぶん振る。

「そんな色気のないデートはダメ! ワンピースとスーツの大人な恋人同士だよ? 甘ぁ~いロマンス映画を見て……おしゃれなレストランでディナーを食べて……」
「ロマンス映画!?」

 私と晃一の声が被った。

「晃一となんて冗談でしょ」
「そんなの背中がかゆくなる」

 私と晃一の言葉を聞いて美佳が不満そうに頬を膨らませる。

「そうしたら絶対恋が芽生えるのに」
「だから、外枠だけ固めても恋なんて芽生えないから」

 私は呆れて右手をひらひらと振った。美佳はかわいい子だけど、これ以上妄想に付き合っていられない。

「じゃあ、サークルがあるからもう行くね」
< 7 / 119 >

この作品をシェア

pagetop