汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 まあ、そんな彼が風子の──否、女の子の話をするとなれば、話題は1つしかない。きっと頭の中が性欲まみれなんだと思う。それと、自分以外の人を下に見ている節もあって、より自分のゲスさに磨きがかかっているわけだ。


「死んじまうその前に、一発ヤりたかったよなァ」

「可愛かったもんな、マジで」

「むしろ死んでてもいいから今すぐヤりてー」

「うっは!死姦かよっ」


 ゲスすぎるその話題を耳にして、頭にカッと血がのぼったのが分かる。今すぐにでも「ふざけたことを()かすな!」って、怒鳴りに行きたい。一発殴りに行きたい。

 ……けれど、それが出来ないのは僕がどうしようもなくヘタレで、狼谷くんがこの上なく怖いからだ。

 狼谷くんを敵に回したらどうなるのか……それは過去に経験したことがあるので、無意識のうちに近付くことさえ身体が拒否してしまっているんだ。

 風子。
 ヘタレな兄で、ごめんよ。

 君なら……「まったく。大和ちゃんは仕方ないなぁ」なんて笑ってくれるのかもしれないけれど、それを確かめる術はもう……ない。


「この際、大和の奴でもよくね?」

「……え?」


 今、聞きたくなかったとんでもない発言が聞こえてきて、僕は思わず動揺を声に出していた。

 僕でも、いい?

 それって、今までの会話的にも、まさか……。

 僕は声のした方──狼谷くんの方を見ると、ニヤニヤと笑う彼と目が合った。……合ってしまった。


「えー? 冗談だろ? 狼谷」

「いやいや、マジ。アイツって童顔だし、風子ちゃんの格好をさせたら意外にイケるんじゃね?」

「ぎゃははは、なにそれウケる!」


 狼谷くんの隣にいた男子生徒──壱壁 東(いちかべ あずま)くんも、僕の方を見てニヤニヤと笑う。
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