汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 壱壁くんは無造作ヘアーの黒髪に顔にソバカスが多めの男子生徒で、狼谷くんのそばにいるところをよく見かける。狼谷くんのそばには必ずと言っていいほど壱壁くんがいるし、たぶん、仲がいいんだと思う。

 ──でも、僕には、狼谷くんにイジメられたくないから、狼谷くんに好かれるように無理に自分を作って、演じて、隣にいさせてもらっているようにも見える。

 その証拠といっていいのかは分からないけれど、壱壁くんがひとりでいる時、打って変わって色々なモノに怯えているような動きをするから……。

 今回のゲスい絡み方も、彼らはただ、怒ったり怯える僕を見てはからかい、面白がっているだけなんだろう。

 大丈夫。
 それなら、我慢できる。我慢しなきゃ。

 彼らの挑発に乗らないよう、聞こえないフリをしよう。挑発に乗ってしまったその時は……どんな仕打ちが待っているのか、僕はよく分かっているから。

 ゲスの塊である狼谷くんの方は、もしかしたら本当にそう思って話しているのかもしれないけれど、壱壁くんの方は本音ではないと思う。額に滲ませている汗が、無理に話を合わせている苦しさを物語っているから。


「狼谷、壱壁、うるさいよ」


 笑い続ける彼らをぴたりと止ませたのは、凛とした声の持ち主である同じクラスメートの寺山 鞠歌(てらやま まりか)さんだった。

 肩くらいまでの長さの切りそろえられた黒髪、きりっとした細長の瞳、綺麗に揃えられた前髪の要素から、まるで幼い人形のような容姿の彼女。

 けれど、その性格は冷静沈着。モノを的確にキッパリと言い放ち、怖いもの知らずといったところか……。彼女に憧れを抱いたり、支持する女子生徒は多い。
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