汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 例えば、人狼の食料として、牛や羊…… 鶏なんかの肉じゃダメなのか、とか。もしもそれが許されるのなら、人間を襲わない代わりに他の肉を食べてもらって、一緒に地球上で生きていけるんじゃないかな、なんて。

 人狼は人間と違って身体能力が優れているから、人間には出来ないことを代わりにやってもらったりなんかして……。そうしたら、お互いに争うことなく、うまいこと、いかないのかな……なんて。

 ……でも、やっぱり人狼の気持ちなんて分からないし、そんな案を提案する前に自分が食い殺されるか、「そんな馬鹿げたことに乗るつもりはない」なんて一蹴されて終わりかもしれないけれど。

 自分がおかしなことを言っていることの自覚はある。……だからこそ、今まで誰かに自らの心情を話すことも無かったんだけれど。

 だんだんと話していくことがいたたまれなくなって、声量が小さくなっていく。大上さんが今、どんな表情をしているのかが分からなくて、怖くて、まともに見れない。反射的に俯いてしまう。


「ごめんね、大上さん。……自分が変なことを言っているのは、分かっているんだ」


 思わず謝ってしまう始末だ。

 別に、僕の考えを誰かに分かってもらおうだなんていうことは思っていない。押し付けるつもりももちろん、ない。

 僕はただ、争いのない平和な日常が、世界が、訪れたらいいなって……そう願って、夢見ているだけなんだから。

 少し無言の時間が流れた後、大上さんはゆっくりと口を開いた。


「ううん、そんなことないよ!」

「……え?」

「正直、今まで犬飼くんみたいな考え方をしたことがなかったけど、そういう考え方もあっていいと思うから!私も犬飼くんと同じで、そうだったらいいなって……思ったから」


 ふわりと笑ってみせる大上さん。

 それが本音なのか、同情なのかは分からないけれど……嘘でもそう言ってくれたことが嬉しくて、つられて自分も笑顔になる。

 よかった。大上さんに言ってみて。否定とか拒絶とかの言葉が返ってこなくて。ただ単に大上さんが優しいだけかもしれないけれど、今はどっちでもいいや。
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