汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 刹那、臣さんは画面を見ることが苦痛なのか、直視をしないように、そっとうつむく。僕は薄々風子のことが流れるのではないかと察していたが、洋子さんと同じく食い入るように画面を見つめた。

 だって、まだ、こんなにも信じられない。

 勤務中に警察や病院から「風子が死んだ」と連絡がきて、すっ飛ぶようにして早く帰宅したのだとは思うのだけれど……。

 たとえば、家族を想うばかりの臣さんの勘違いだったとか、臣さんが「死んだ」と言う風子は、同姓同名の別の誰かだったとか……その可能性だってあるわけで。

 ──けれど、現実は残酷だ。


「臨時ニュースです。●●県●●市●●区の道中で、帰宅途中だと思わしき女子中学生の遺体が発見されました」


 画面に映っている若い女性のアナウンサーが、無表情尚且つ無機質な声音で、用意された原稿を淡々と読み上げる。

 風子は今年、中学2年生になった。アナウンサーが口にした〝女子中学生〟という単語。同じではある。でも、まさか、そんなことって……。

 風景を撮影しているカメラが、見覚えのある道や家々を映していく。たくさんの警察や救急車、人狼対特殊部隊までもが出動しているらしく、画面の至るところに映っていた。


「被害者の名前は、犬飼風子さん」


 同時に、画面端に風子の生前の顔写真が映し出される。ドクン、と、また心臓が大きくはねた。

 これはもう……どう見ても、何回も確認のために見ても、僕の妹である風子に間違いはないわけで。自然と呼吸が荒くなっていく。うまく吸えて吐けているのか、自分ではよく分からなくなってきた。
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