汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
「……犬飼くん。ありがとう、そう言ってくれて」
お礼を言ってくれたのは、由良城さんだった。
優しく微笑む彼女に、殺気はもう、感じない。
そして、由良城さんがちらりと一瞬視線を向けた先は、夜桜さん──ではなく、その向こうにある色々な道具が置かれてある台だということに気が付く。
そっか、そういうことだったんだ。
彼女は決して夜桜さんに何かしようと思って一歩歩み寄ったわけじゃなくて、その向こうにある台に近付こうとしたんだ。──他でもない、夜桜さんに言われたとおり、〝自害するため〟に。
野々宮くんに「大丈夫だよ」と言ったのは、そんな自分を引き止めないでほしいと思った由良城さんの〝悲しい嘘〟なのかな……。
「……もう、言い訳はしない。私は生まれた時から人狼で、両親から人間社会に溶け込むために〝人間の化け方〟を教わった。たくさんの人間を食い殺してきた。心の中でこんなのおかしいって思っていても、本能には逆らえなかった。そして今回、沙彩ちゃんを食い殺してしまった」
懺悔のように自分の生い立ちを話し出す由良城さん。淡々と、でも始終ハッキリと話していて、内容に嘘は感じられない。
〝人狼〟に関してはまだまだ謎が多いとされているけれど、こうして人狼本人の口から色々と話が聞けるのってすごいことなんじゃ……?
人間の化け方なんて、普通に生きてきたら聞くことのない単語だ。人狼たちは人狼たちで色々と考えて、工夫して、この世界に紛れ込んでいるっていうことなんだろうな……。
「ごめんね、聡志。私、聡志のこと、ずっと〝非常食〟だって思って仲良くしてあげてたんだよ。聡志ってほんっとバカだよね。騙されてるなんてつゆも思わなかったんだもんね」
そう言って無理に笑う由良城さんの声は、震えていた。また泣いてしまうのを、堪えているみたい。
お礼を言ってくれたのは、由良城さんだった。
優しく微笑む彼女に、殺気はもう、感じない。
そして、由良城さんがちらりと一瞬視線を向けた先は、夜桜さん──ではなく、その向こうにある色々な道具が置かれてある台だということに気が付く。
そっか、そういうことだったんだ。
彼女は決して夜桜さんに何かしようと思って一歩歩み寄ったわけじゃなくて、その向こうにある台に近付こうとしたんだ。──他でもない、夜桜さんに言われたとおり、〝自害するため〟に。
野々宮くんに「大丈夫だよ」と言ったのは、そんな自分を引き止めないでほしいと思った由良城さんの〝悲しい嘘〟なのかな……。
「……もう、言い訳はしない。私は生まれた時から人狼で、両親から人間社会に溶け込むために〝人間の化け方〟を教わった。たくさんの人間を食い殺してきた。心の中でこんなのおかしいって思っていても、本能には逆らえなかった。そして今回、沙彩ちゃんを食い殺してしまった」
懺悔のように自分の生い立ちを話し出す由良城さん。淡々と、でも始終ハッキリと話していて、内容に嘘は感じられない。
〝人狼〟に関してはまだまだ謎が多いとされているけれど、こうして人狼本人の口から色々と話が聞けるのってすごいことなんじゃ……?
人間の化け方なんて、普通に生きてきたら聞くことのない単語だ。人狼たちは人狼たちで色々と考えて、工夫して、この世界に紛れ込んでいるっていうことなんだろうな……。
「ごめんね、聡志。私、聡志のこと、ずっと〝非常食〟だって思って仲良くしてあげてたんだよ。聡志ってほんっとバカだよね。騙されてるなんてつゆも思わなかったんだもんね」
そう言って無理に笑う由良城さんの声は、震えていた。また泣いてしまうのを、堪えているみたい。