一方通行恋愛~この恋、全員片想い~
「西岡さん?」
「!」
思わず声をかけていた。
クラスが離れて、なかなか会う機会も話すこともなかった。
背中まであった髪を切ったのも最近だった。
似合うねって、言いたかった。
肩を震わせた西岡さんだったが、振り返らない。
気づかなかったわけじゃないはずなのにと、歩みよった。
そのとき、彼女の足元へ何かが落ちていった。
蛍光灯に照らされ影になるその足元。
所々を水玉模様に色を変えて……。
「……っ、西岡さん!」
思わず肩を掴まれ振り向かせた。
小さく驚きの声を上げた彼女の顔が見えた。
大きなその目は潤み、キラキラ光った。
真っ赤に腫らし、涙の跡がその頬に残る。