嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?
「だって指輪はやっぱり螺旋階段の上で渡したいじゃないですか」
「指輪って――、っ」
新さんが私の指輪を見て口を噤んだ。
「お前、仕事中だろうが」
「昼休みを返上して買ってきたんだから良いじゃないですか」
「これか。コレの為にザルのお前が二日酔いの真似をしてたんだな」
言い争いを始めた二人をハラハラと見ながらも、この既視感に首を傾げてしまう。
一体どこでこれを見てんだっけ?
「まあまあ、早く拭いて下さいよ」
「お前が拭け!」
「あ、思い出した!」
私の言葉に、喧嘩中の二人が振り返った。
「この前の歓迎会の時だ。二人ともこんな言い争いしてましたよね?」
確か、あれはあの林田とかいう編集長との時に私が意識を失う前だ。
って、あれ?
「あれって結局どうなったんでしたっけ?」
気が付いた時には私はソファに寝かされていたし、急に婚約の話がでてきて有耶無耶にされてしまっていたんだ。
「どなたが私を運んで下さったんですか?」
二回目になるその質問に、二人はお互いを見た後、私に視線を送る。
「だから、俺」
「俺ですよ」