嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


「え、明日の夜は関係者を呼んでの打ち上げですよね」

デザインも無事に完成し、商品と映画情報が同時に解禁される。

それをチームや映画関係者達と一緒にお祝いが予定されていた。
私はそのまま配属先の事務へ戻ると思うが、AW用のデザインコンペで新さんたちはまた忙しくなるから、唯一ここで一緒にゆっくお祝いできると楽しみにしていたのに。

また紡さんの直接交渉に行く病が起きてしまった。

ここ数カ月で何回行かれたか。

「これだけは譲れなくて、ね」

そう爽やかに言うと、颯爽と出て行ってしまった。

そしてそのままタクシーに乗り込んで航空チケットを手配しつつ、すぐに行ってしまうんだ。もう慣れたから諦めてるけれど、紡さんの仕事への情熱は尊敬しているし。

今回は海外ではないらしい。


「電話するから、寂しがって新なんかに行かないように」
「行きません」
「行くか」

二人して呆れてしまったけれど、他の社員たちはクスクス笑っている。

社内恋愛が禁止ではなく、それどころか社長が受付嬢と結婚した経緯があるから寧ろ推奨されているこの雰囲気は、異常なまでに甘い。

でも、一応副社長の立場なんだからもう少し憚ってくれてもいいのに。



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