嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?





螺旋階段を勢いよく、くるくると降りて行くように、紡さんとの甘い時間は、同時に忙しくなった仕事と共にくるくる、変化していく。



あの日、すぐに新さんに報告した。
何か言われるかどう思っているのか不安だったけれど、喜んで祝福をしてくれた。
ソレが嬉しかったのに、ちょっぴり寂しいと感じたのは自分のエゴだから黙って置こうと思った。
あれから――出勤した新さんには何もかもお見通しだったらしくて、拗ねて様な怖い顔で言われた。

『この貸しは、プロジェクトが終わるまで茶色弁当献上でチャラにしてやるよ』


それだけで、私たちの関係はだたの上司と部下になった。
上司としては尊敬できるし、怖いけど頼りになる、一番目指したい背中でもある。

もし、何かの拍子や、ボタンを掛け間違えていたり擦れ違っていたら、町が居なく私は新さんを好きになっていた。

だけど、今は溺愛で胸焼けしそうな恋人がそんな考えを吹っ飛ばしてくれる。




それから慌ただしく企画が進んで行き、私が無事に三ヶ月目で研修が終わり更に一年契約が更新されていた。
塚本さんが言うには、シンデレラプロジェクトが無事に終われば、正社員に推薦してあげるから契約社員じゃなくなるよって言ってくれたのだけど、そんな事を考える暇ないぐらい仕事は忙しくなった。

「うーーん。やっぱ直接交渉して来ます」

パタンとパソコンを閉じると、カバンの中へ入れ出した。


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