嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?

榊原さんが待っているから気遣ってくれたのだけど、トイレにでも閉じこもっていようかと後ろ向きな気持ちで会場と反対方向へ歩く。

「足はもう大丈夫みたいですね」

「!?」

振り返ると、副社長がにっこり笑って此方を見ている。

「足は絆創膏巻いていたら痛みはないので」
「そう。良かった。社内で君が全く捕まらないから忙しく走り回っているのかなって胸を痛めてたんだ」
そう笑う優しげな目元は、先ほど私に気付かなかった時と同じ。
いつも笑っているような印象がちょっとだけ苦手かもしれない。
「さっきはスイマセン。林田さんには貴方を気づかれてたくなくて、ね」
「気付かれる?」
「そう。林田さんの娘さんとお見合いしろってうるさくて。俺が君に興味を持ってるのがバレたら面倒なんです」

面倒?
そう思いつつも、身構えると副社長の右手が振りかざされる。
驚いて目を閉じると、フッと優しく鼻で笑われてしまった。


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