晴れ、のち晴れ
今日の分の試験が終ると、教室がいつもよりざわめいていた。
視線が一箇所に集まっている。
何気なくそちらを向いたが、俯いた生徒が唇を噛み締めて俯いていた。
知らない顔だ。
険しい顔をして教室にやって来た教師が、俯いている生徒を呼ぶ。
教室が一瞬静まり返り、生徒が教室を後にすると、またざわめきが戻った。
「カンニングばれると、全教科零点なんだってな。最近だと一年で携帯鳴らした奴がいたらしい」
三宅が聞いてもいないのに話し出す。
「ま、そっちは電源切ってたのに、アラームが鳴っちまったらしくて、親呼び出しですんだみたいだけど」
携帯が鳴ったくらいで厳しい処罰だ。しかし、教師は普段から口うるさく携帯を切れと言っている。
今回のこととは話が少し違うが、教師側も注意が脅しではないことを示したいのだろう。
「気持ちは分かるがカンニングはいかんよなぁ」
他人事のように三宅が言った。