晴れ、のち晴れ
しかし、夢香はあたしを無視して携帯を取り出すと、メールを打ち、何度かどこかへ電話を入れた。相手は出ないようだ。
「ところで夢香さん、今日はお暇?」
夢香はきらきらしい笑顔で言った。
「ひま…だけど」
「そう、良かったわ。車を待たせてあるの、行きましょ」
あたしの腕を夢香が掴んだ。
「ええ…っ」
その時あたしの背に誰かがぶつかった。転びそうになるあたしを夢香が支えてくれる。
「邪魔なんだけどぉ」
振り返った先にいたのは、松田とか松島とかいう名字の女たちだった。
あたしが何かを言うより早く、夢香が動く。松なんとかの腕を掴んだのだ。
「ごめんなさい、でしょう?」
「はあ?」