生贄投票
夜になって美奈都はベッドにもぐりこんだ。

今日の娘と涼花のやり取りを見ていて、そういえば娘が高校二年生になっているのだと改めて思った。


高校二年生の10月。


初めて生贄投票が現れたのが、確か高校二年生の10月だったはずだ。


そうか……。今の美沙希の歳に、あの恐ろしい出来事が起こったのだ。ずっと考えないように記憶を封印していた生贄投票が……。


美奈都たちはまだ良かった。始まったのが10月だったから、四月までに10人が生き残れた。


だけど一学年下の子たちは、始まったのが四月だったので、結局一人を残して全員死んでしまった。最後は二人が残り、一票ずつの同票となったので、出席番号が近い者ルールが適用されて、一人が生き残ったけど、その子も結局精神が病んで、病院から出て来れなくなったと聞いている。


美奈都は三年生になってすぐに学校を辞めたから、詳しくは知らないけど……。


翌年から学校は、二年C組を排除し、二年生だけにG組を作った。それにより生贄投票は来なくなったと聞いている。


うとうとしていたら、ドアが開いて美沙希が入って来た。


「ママ、大変!」


「えっ、何? どうしたの?」


大きな声で叫ぶから、美奈都は驚いて起き上がる。


「これ見てよ! ねぇどうしよう?」


その美奈都に向かって、美沙希は自分のスマートホンを見せた。
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