WORKER HOLiC
 今、有野さん変な事を言わなかった?

 変更項目の差し替えを〝全部〟私にやらせた訳?

 確かに変だなぁって思ったわよ。

 なんかいつもより仕事が多いなぁってね?

「あの……」

「ん~?」

 有野さんはモニターを見つつ眉を上げる。

「そういうのって、職権乱用って言いませんか?」

「いや~? 気のせいでしょう」

 ニヤリと笑うから、思わず腕を組んで目を細めた。

 気のせいじゃないでしょう。

 これはもう、明らかに。

「仕事は仕事だからね。誰かに割り振らなければならないし。たまたま君に集中させただけで、腹いせでもなんでもないよ」

 ……腹いせですか。

 それが本音ですか。

 しかも、何故、腹いせですか?

「で……? 俺に何を聞きたいの?」

「何故、腹いせですか」

「そっちじゃないよ?」

 有野さんは溜め息をつき、目を閉じると首を左右に曲げた。

「昼から帰って来て、好奇心旺盛だった様に見えたけど?」

 思わず瞬きする。

「違った?」

 くりんと振り返られて、思わずこめかみを押さえた。

 何か……頭痛がしてきたみたい。

「何故、お喋りスズメさんが来るのが解ったのか。それを知りたいんじゃないの?」

 ……何故解るの。

 ちらっと有野さんを見ると、どこか得意げにニヤリと笑っていた。

「単に服装」

「服装……?」

「さすがの俺も全社員の服装や色まで覚えてないけど、あの人いつでもどこでも色んな所に出入りするから。朝一で会ったら覚えるね」

 有野さんは一人で頷くと、苦笑しながらパソコンの電源を落とす。

「それが毎日、同じ時刻にいるの見たら、ああこれは日課なんだろうなって解るし。なんせあの人かなり派手な服装だし?」

 そうですね。

 ちなみに今日は見目鮮やかな黄色のスーツでしたね。

「普通、営業であんな派手なスーツの人も中々いないでしょう?」

 パンパンと手を払って立ち上がると、ひょいと私を見た。
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