あ い の う た <実話>
そんなある日のこと。



一組と二組合同でHRの時間にドッヂボールをすることになり、
体育館に二つのクラスが集合しようとしていた。



あたしは一人で、体育館の階段を登っていた。



目の前には同じクラスの女子がキャーキャー騒ぎながら階段を登っている。




その時、そのうちの一人がタオルを落とした。




『あの…落としたよっ?』
タオルを拾いあげて言うと、

その子は振り返り、『ありがとお〜』言いながらあたしのいる所まで駆け降りてきた。



その子はタオルを受け取ると、
『二組の子?今日よろしくね♪』
と言った。




『え……………』




否定する間もなく、その子は階段を駆け登って行ってしまった。




まだ………
クラスにいることさえ知られてないんだあたし…。




居ても居なくても
わからない存在なら




やっぱり、
居なくなりたい………。






< 15 / 235 >

この作品をシェア

pagetop