あ い の う た <実話>
『……ただいま』
あたしはその日泣きながら家路に着いた。



いつもなら家に入る時までには泣き止むのに、今日はどうしても止められなかった。





『どうしたの!?』
ボロボロと涙をこぼすあたしを見て、ママが驚いたように言う。



あたしはそのままママの傍まで行き、力なく腰かけた。




『…もう学校行きたくない。』




『……………』
ママは黙っている。



『…学校行っても一人だし、友達できないし、全然楽しくないんだもん!!』

ずっと言えなかった事なのに、
感情が溢れて抑えきれずあたしは泣き叫んでいた。




ママはあたしが叫び終わるまで、何も語らずただじっとあたしの様子を見つめていた。




『う………んっぐ…』


感情を吐き出し終えてもママは黙っていた。





あたしは急にどうしたらいいかわからなくなってママの方を見て言葉を待った。





それを察したのか、やっとママの口がひらく。







『…じゃあ辞めれば?』




意外な一言。



『でも、あたしはゆなの決めたことに責任持てないからね』




その言葉に、あたしは突き放された気がした。



『よく考えな?』





ママの言葉は

重く、深く、


あたしの胸に突き刺さった。







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