あ い の う た <実話>
どうしよう…




あたしは涼介さんの部屋でちょこんと正座したまま、固まっていた。



二人、無言の時間が何分過ぎていったのだろう?





正座したまま、色々考えこんでいたら

突然、涼介さんが笑い始めた。



あたしは訳もわからずきょろきょろ。




『クックックッ…』って堪えるように笑ってる。




−???




あたしが訝しげな顔をすると



『…ごめん!お前可愛いよ、笑』



意味わからんっ



あたしはさらに?顔になる。



『緊張しすぎだろ!?…そんな気ぃ遣わなくていーし!』



『でも…涼介さんは…涼介さんだしっ…!』




『…お前が思ってる涼介さんがどんな人間かは知らねーけど、俺なんか本当ろくでもない男よ?』



『そんなことないです。あたしは涼介さんの歌が好きなんですっ…涼介さんが例えどんな人間でもそれは変わりません』




『お前めずらし-女だよな?』




『へ?』



『ファンの女連れ込むとさー、1、Hしよーって誘ってくる奴、2、ライブの感想延々と語り出す奴、3、あたしの為に歌ってくれって言い出す奴、だいたいこの3パターンなの!』



『…はあ。』



『…どれにも当てはまらねーのな?』



『…当てはまった方が良かったですか?』




あたしの言葉を聞くと涼介さんはまた意地悪そうに笑う。




『そりゃあもちろん1のパターンは大歓迎よ?』




ああ…



なんか…
本人が言うように本当にダメ男なのかも…



…なんて内心思ってしまった。




さっきまでの緊張は、
いつのまにかなくなっていた。






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