溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
1.初対面なのに


あごのラインが横から見えるほど短く切った髪を、片方だけ耳にかける。

すると、鏡にうつった顔が、よりすっきりと見えた。

引き締まって見えるように、目じりで跳ねあげたアイライン。

色味の少ないベージュのリップ。

真っ白なカッターシャツに、黒いパンツスーツ。


「……きつい顔が、さらにきつく見える」


実家の母が見たら、またため息をつかれることだろう。

今回の異動にも、大いに反対していた。


私だって、入庁当初は思いもしなかった。

まさか、自分がSPになるなんて。


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