溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「それにしても、私、SPになってから休んでばかり……」
結局、私は足が完治するまで休職、ということになってしまった。
私に起きた様々な不調を、特殊班のみんなが心配してくれたらしい。
班長に『みんな、早い復帰を待っているから。無理しないでゆっくり休ん
だ方がいい』と言われてしまったので、もう逆らえなかった。
班長にもみんなにも、迷惑をかけっぱなしだ。
「向いていないのかな」
機動隊は大勢でデモを沈めたりとか、とにかく集団行動が多かった。
それに対してSPは、個人の能力が問われる。
一応試験には受かったけど、私にはSPとしての資質が足りないのか?
そんなとりとめもないことを考えそうになって首を振った。
部屋が薄暗いから、思考も暗くなるんだ。
夜中から締め切っていたカーテンを勢いよく開け、何となく家の外を見下ろす。
すると……。