青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「白い塔、白い塔、ね……」

 回廊から軽く飛び出し、瑞々しい低木を掻き分けてぐるりと視線を巡らせる。

 比較的低い建物の並ぶ王宮に一際高く、ふたつの塔が聳え立っている。

 ひとつは、黒い石組みの塔。

 もうひとつは、白。

 目的のものはすぐに目に付き、シェイスはうっすら笑みを浮かべた。

 硬い指が、勝手に背負った剣の柄を探る。

「確かめたいのなら、真っ先に会うべきひとよね?」

 自分に云い聞かせるように、呟いてみる。
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