青蒼の夜半に、闇色の鳥を
第五章 … 空転する希み

・1・

 小汚い商人街の一角。

 悪臭ぎりぎりの、醸された草の匂いが満ちる店の。

 乱暴に蹴り開けられた粗末な扉に、薬師サディマはびくりと椅子から飛び上がった。

 とっさに、温かな茶を注いだ茶器を手のひらで引っ掛けてしまう。

 たらたらと、朝食代わりの甘い果実茶が袖口を濡らす。

 べたついて気持ちが悪い。
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