青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 卓子に硝子の茶器を置いて、今度は籠に盛られた果実に手を伸ばす。

 城市を出れば瑞々しい果物や野菜を口にすることは難しい。

 だから一族の者は皆、城市の果実を好む。

 手際好く、アギはナイフで皮を剥いでいく。

 横にいたらきっと、シェイスは礼のひとつもなく、アギの剥いた果実を無心に口に運んでいただろう。

 ふたりは子供の頃からそんな関係だった。

 アギの妹のアガサは、そんな光景を目にしては好く顔を顰めたものだ。
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