青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「シェイス・リン」
ジャスパが、シェイスの名を呼ぶ。
僅かに、焦りに似た響きを宿して。
彼には珍しい真剣さに、ますます声が詰まる。
シェイスは、ぎゅっと唇を噛み締めた。
指先ひとつ、動かせなかった。
ジャスパの指が徐々に丸まり、握り込まれ、最後に引き戻される、その瞬間まで。
そのときジャスパが浮かべていた表情を、俯いたシェイスは掴み取れなかった。
褪せていく夢と一緒に、指先から擦り抜けていくのは、多分――それこそ、後悔に相応しい鈍さだったのかも知れなかった。
ジャスパが、シェイスの名を呼ぶ。
僅かに、焦りに似た響きを宿して。
彼には珍しい真剣さに、ますます声が詰まる。
シェイスは、ぎゅっと唇を噛み締めた。
指先ひとつ、動かせなかった。
ジャスパの指が徐々に丸まり、握り込まれ、最後に引き戻される、その瞬間まで。
そのときジャスパが浮かべていた表情を、俯いたシェイスは掴み取れなかった。
褪せていく夢と一緒に、指先から擦り抜けていくのは、多分――それこそ、後悔に相応しい鈍さだったのかも知れなかった。