~君は死んで、僕は読書~
彼女の体は、とても細かった。声も。

だけど、そんな細い彼女だったのに、いなくなった途端、僕に大きな穴を開けた。

穴を開けた?

違う。穴なもんか。

もう、僕の心自体が、丸々もぎ取られていた。

彼女はとても細かった。

白く、儚かった。

なのに、僕のありとあらゆるものを、もぎ取っていった。

ちくしょう。なんで死んだんだ。

恨み言は、光降り注ぐ炎天下で、どろどろに溶けてしまう。

君に届く前に蒸発してしまう。

くそったれ。
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