【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
いや、気に留めていない、というのが果たして正しいかというとそれは違う気もする。


怒りの欠落した成にとって、あの一言に対して思う事が無いというのが正しい見解なのだろうか。


「俺は文系がヤバイだけだもーん。里佳子は全部でしょ?一緒にしないでー」


「ウザっ!だったらテメェの得意らしい数学で勝ってやらぁ!こっちには学年一位の燭が付いてるんだからなぁ」


変な顔で単語帳を捲る姿勢を変えない成に対して子供みたいな挑発を向けた里佳子。そんな里佳子の隣で、辛抱ならないと言わんばかりに燭が笑い出した。


「どうしたのアカリ。リカコが低レベル過ぎて笑っちゃったの?」


「テメェポンコツ!この減らず口!」


冷静に毒を吐いたルイの唇を思いっきり引っ張る里佳子に、燭は更に笑いながら手を挙げた。


「いや、別にリカちゃんを馬鹿にしてるんじゃなくてね、そっか、知らないんだ。成、数学だけは学年一位なんだ。俺勝ったことなくて」


それは、爆弾発言だった。里佳子や私が驚いて成の方を向いてしまうくらいには、かなりの威力のある物で。
< 184 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop