【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
第三章『楽≒希』

不協和音ノクターン




病気で検査をしてもらい、インフルエンザでは無かった事が分かり、ルイと昼下がりの道を歩いて進む。


薬が効いたおかげか、けだるさも無いし意識もクリア。今なら、さっきの事が聞ける。


「ルイ、さっきの燭との電話は何だったのですか?」


尋ねると、ルイの顔がゆるりと私の方を向く。相変わらずに、平常運行の時のルイの表情は美しく、何色にも染まらない無表情。


「別に、大した事じゃないけど。明日の約束は君の体調を考えてまた後日日程調整して連絡するって」


「日程調整が後日になったのがおかしいのに、私が気づかないと思います?」


冬休み、年末前の高校生の予定なんて目に見えている。大人じゃないのだから仮の予定なんてしようと思えば計画はすぐに立つ。


それを先延ばしにしたという事は、何かおかしな事が起きているのはすぐに分かる事だ。


「電話で成の事を出していましたね。成に、何かあったのですか?」


ルイの真っ直ぐな視線から私も逃げない。逃げてばかりでは変わる事は出来ないから。


そんな私に、ルイは瞼を伏せて溜息を漏らし、無表情からようやくお手上げの表情を顔に浮かべた。
< 201 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop