【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「……すみません、そこは思い出せないので、その後を遡ってみても良いですか?場所を、移して」


頭を抑え、荒く吐き出せば、成が私の肩を支える。


「少し休憩にしよう。笑里が壊れる」


「それもそうだし、俺達もキャパオーバーだ。笑里ちゃん、焦るのは止めよう」


霞む視界の先、今にも崩れそうな里佳子が私と同じように燭に支えられている。支えている燭も、顔色が良いとは言えないし、私を支える成だって、触れた手が震えていた。


残酷な真実を受け入れたくても、人はすぐには呑み込めない。時間が要る。分かっていても、私は早く全てを取り戻したい。


生きる為に、大切な人との時間を多く生きる為に、ルイとの時間を長く生きる為に。


ルイが、おもむろに私の頬に触れた。


嗚呼、ルイから落ちるひと雫は、命の煌めきなのだろう。だから、拾いたい。失いたくない。流させたくない。


なのに私は無力だ。手を伸ばして、受け皿にしたいのに、近いのに、地球の裏側よりも遠いような気がしてしまう。


「な、か、ないで。お願い、ですから」


「泣くよ。キミが泣くから。涙を流していなくても、何度も泣くから。キミに返す為に」


返さなくて良い。持っていて良い。だから、君の命を削らないで。共に生きたいから。
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