【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
教室に着くと、やはりあの子は一人で俯いて席に着いていた。


教室の後ろのロッカー側には、対象的にいつもの大きな笑い声を上げる、里佳子と取り巻きの子達。


「成程。データベースで『ヒエラルキー』『スクールカースト』の2点をインストールしてみたんだけど、良い事例だね」


「ルイは理解するのが物凄く早いのですね」


それを見て、何とも思わない私と何とも思えないルイは人から見れば冷たいのかもしれない。


「リカコはその仕組み上のトップ。本人に自覚は無いようだけどね。この間のあのひと言が今の状態を構築している。そういう事でしょう?」


とどのつまり、そういう事、なのだ。


その仕組みのトップにいる里佳子のひと言で、一人の輝いた人生は転げ落ちつつある。


言葉とは、感情とは、時として凶悪な刃物。ルイは、その光景を密やかな機械音を立てて、ただただ自分のデータにして行く。
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