【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
ただ一つ、その拾う神は勘違いしている事があった。


「片岡?どした?まだ体調優れないの?」


私までもを、その部品のひとつとして拾おうとしている。拾い上げようと、根気強く手を伸ばす。


でも、私はその仕組みを成り立たせる部品じゃない。私は……私は不要な歯車。そこに入り込んだら機能を停止させてしまう、不要な産物。


心配する嶋山成を見る事なく、私は自分の席へと歩み出し、鞄から音楽プレイヤーを取り出した。


「ルイ、片岡無理して学校来たのかなぁ」


「いいや、身体に異常はないんだよ。身体は、ね……」


人間臭い声で、含んだような事をルイが言ったような気がするけど、そんなのは気にしない。


耳に入るヘビーメタルの音は、この仕組みの歯車の音より、ずっとずっと心地良い。
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