もう君がいない


私もみんなに心配をかけまいと、泣き出したい気持ちを抑え、いつも通りの私でいた。

必死に笑顔を作った。

必死に明るく振る舞った。


でもそうすることで、私自身の心は、どんどん崩れていった。

家に帰ると、ため息ついてることさえ気づかなくて、お母さんに心配された。

夜はなかなか眠れず、涙で枕を濡らした。



そんな私に、美雪だけが気づいてくれた。


「私を騙せると思った?」

美雪がそう言ってくれたとき、私は一人で我慢してた全てを美雪に伝えた。

泣きながら話すと、美雪はずっと私の手を握って話を聞いてくれた。


「そうだったんだ。なんとなく、蓮君も様子が変だな〜とは思ってたけど。」

「最悪だよね、私。」

「そんなこと言わないの。自分ばっかり責めないの。」

「うぅ〜、美雪〜〜、」

「あーもう、泣かないの〜!」


美雪の存在に、どれだけ助けられたか。

今も、今までも、きっとこれからもそう。


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