もう君がいない
思ったより、蓮は普通だった。
この前みたいに、あからさまに避けられることはなかった。
普通に話すし、二人で行動することもある。
たまにタイミングが一緒になると、二人で帰ったりもした。
でも、そこには、見えない壁があった。
蓮は、確実に今までとは違って、私との間に壁を作っていた。
線引きされているような気がした。
もう、その線を越えることは出来ない気がした。
蓮との間にある壁を、乗り越えることも壊すことも、私には出来ない。
蓮はもう、今までのように、私に笑いかけてくれることはないのかもしれない。
あの屈託のない笑顔で、
えくぼができちゃう笑顔で、
私を見てくれることはないのかも。
それがすごく辛くて、私は精神的にまいりそうだった。