もう君がいない


「来月の10日にさ、俺たち、でかい大会の予選が始まるんだ。」

「そうなんだ。」

「ああ。それで、その日美雪ちゃんとでも、試合観に来ないかな?って。」

「えっと、、」


いまから別れを告げようと思ってるのに、試合観に行く約束なんて、、

そう思うと、行くだなんて言えずに、私は戸惑ってしまう。


「実はさ、その予選の日までもう部活が休みなくて、夏休みに入ったら合宿もあるし、たぶん会えなくなると思うんだ。俺もその大会は今年が最後だから、悔いのないようにやりたくて。」

「そっか。」

「だから、せめて試合観に来てほしくて。そしたら、会えるしさ。」


いままでも、美雪と一緒に、光貴の試合を何度か観に行った。

はちみつレモンとか作っちゃったりもした。


光貴は本当にサッカーが大好きで、本当にサッカーに全てをかけてた。

ボールを必死に追いかけて、ピッチを走る光貴の姿が大好きだった。



そっか、また大きな試合があるんだ、、。

光貴のことだから、また血の滲むような努力をして、試合までストイックに頑張るんだろうな。


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