もう君がいない


よく出来た男だったら、こんなとき、ドラマのワンシーンのように、愛する女の幸せを思って、自分からサッと身を引くのだろうか。


俺にも、そんなことができるか?


毎日見舞いに来る茉菜。

日に日にぼーっと何か考えごとをして、心ここに在らずって感じなのが増えてきた。

きっと、蓮のことを考えてるんだろう。


そんな茉菜に気づいていても、、

女々しくて弱っちい俺は、見て見ぬフリをしてばかり。



このままじゃダメだって、、

そんなことわかってる。


いっそのこと、茉菜から別れを告げられた方がいいのか、、

そう思ったりもするけど、


前に一度そんな雰囲気を茉菜が出したとき、俺はその言葉が聞きたくなくて、茉菜の話をさえぎった。

その言葉を言えないように、試合を観に来てほしいだなんて、次の約束までして。


その結果がこれだ。

きっと茉菜は、こうなってしまった俺を気遣って、別れを告げられなくなっている。


茉菜は、優しいから。


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