もう君がいない


「珍しい色ですね。」

「そうなんですよ。その辺に咲いてるコスモスでは、中々見かけないでしょう?」

「はい。私、初めて見ました。」


そのコスモスは、少し黒がかったような、、

暗い赤色の花びらをしていた。


コスモスって、ピンクとか白とか、それにオレンジとか、、

そんな可愛らしい色のものばかり見ていたから、こんな暗い色のコスモスがあるなんて知らなかった。


「コスモスって、可愛らしい色が多くて、そういった色のコスモスって、花言葉もすごくかわいいんですよ。」

「花言葉?」

「ええ、色ごとに少しずつ違って、乙女の愛情とか、少女の純潔とか、」

「へぇ〜そうなんですね。」

「でもね、その黒っぽい色のコスモスだけは、色の影響もあるのか、少し悲しい花言葉がついてるんです。」

「悲しい花言葉、ですか?」

「はい。”恋の終わり”って。ね?他の色に比べて、ちょっと悲しいでしょう?」



”恋の終わり”


その、店員さんの言葉が、、

今の私の心に、真っ直ぐに突き刺さった。


恋の、、終わり、、


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