もう君がいない


聞き間違えじゃ、なかった、、。



蓮が言ったのは、、


私がずっと待ってた言葉。



この着物を見た瞬間、これにする!って即決だった。


「えー?せっかくだし、もっと華やかなのにしたらー?」

そう言う美雪の言葉も、


「最近の若い方には、この辺りが人気ですよ。」

そう言うお店の方の言葉も、


全然耳に入ってこなかった。



とても綺麗に染まった、深い紺色の生地に、

一つ一つ上品に描かれた、白い百合の花。



そう。

あの、おばあちゃんの浴衣によく似た着物。


私が、ずっと着たかった浴衣。


お母さんにまで嫉妬した、

蓮が綺麗だと言った、あの浴衣。


その浴衣にそっくりだったんだ。



これを着たら、蓮はどう思う?

蓮は、覚えてるかな?


ずっと、蓮の反応が気になってた。

ずっと、蓮のこの言葉を待ってた。



蓮がお母さんに言った、


「おばさん、その浴衣の花、綺麗だね。」


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