もう君がいない
それからしばらくすると、自由時間も終わりに近づき、それぞれに散らばってたクラスのみんながロッジに戻ってきた。
「ただいま〜!」
男子達も登山から戻り、いつも以上にハイテンションな里中君の声が響いた。
「戻ってたんだな、茉菜。」
「うん、さっき。」
登山でリフレッシュしたのか、すっきりした顔の光貴も戻ってきた。
「そう言えば蓮は?電話で気にしてただろ。何だった?」
「あ、うん、、」
私が光貴に事情を話すと、
「悪い。俺、全然気づいてなかった。そうだよな、あんま運動できないって言ってたもんな。」
普段、体育の授業にほとんど参加できない蓮だから、クラスのみんなは蓮の心臓病のことを知っていた。
もちろん光貴も。
「ううん。美雪と急いで戻ってみたけど、他の子達と外で話してたし、大丈夫だったみたい。」
「ならよかった。俺も今度から気をつけるわ。」
「よーし、全員揃ってるか?班ごとに並べ〜。夕飯の準備始めるぞ〜!」
田中先生が大きな声で話しながら、ロッジの前へと現れた。