もう君がいない


それからしばらくすると、自由時間も終わりに近づき、それぞれに散らばってたクラスのみんながロッジに戻ってきた。


「ただいま〜!」

男子達も登山から戻り、いつも以上にハイテンションな里中君の声が響いた。


「戻ってたんだな、茉菜。」

「うん、さっき。」


登山でリフレッシュしたのか、すっきりした顔の光貴も戻ってきた。


「そう言えば蓮は?電話で気にしてただろ。何だった?」

「あ、うん、、」


私が光貴に事情を話すと、

「悪い。俺、全然気づいてなかった。そうだよな、あんま運動できないって言ってたもんな。」


普段、体育の授業にほとんど参加できない蓮だから、クラスのみんなは蓮の心臓病のことを知っていた。


もちろん光貴も。


「ううん。美雪と急いで戻ってみたけど、他の子達と外で話してたし、大丈夫だったみたい。」

「ならよかった。俺も今度から気をつけるわ。」



「よーし、全員揃ってるか?班ごとに並べ〜。夕飯の準備始めるぞ〜!」

田中先生が大きな声で話しながら、ロッジの前へと現れた。


< 62 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop