もう君がいない


「茉菜ちゃん覚えてる?あの頃、茉菜ちゃんがいつもおばさんに言ってくれたの。蓮は私がまもってあげるからね、って。」

「はい、覚えてます。」

「茉菜ったら、本当に蓮君の側を離れなかったものね〜。」


蓮の病気を知ってから、蓮を守るのは私の役目だと、勝手に自然とそう思ってた。

だから、当たり前のように、蓮の側を離れることはなかった。



「おばさんね、すごく嬉しかったの。茉菜ちゃんがいつも蓮の側にいてくれたから、すごく心強かったわ。」

「そんな、私は別に何もしてません。」

「そんなことないわ。側にいてくれただけで、とてもありがたかった。ありがとう。」


おばさんがそんな風に思ってくれてたなんて、いま初めて知った私は、目頭が熱くなった。



「高校生になって、昔のようにずっと一緒なんて無理だけど、でもそれでも、茉菜ちゃんが同じ学校にいてくれるだけで、おばさんは安心してるの。」


私は、涙が出てきそうになるのを、必死でこらえた。


今の自分を考えると、おばさんが思ってくれているようには、蓮の助けになれていない。

それが申し訳なかった。


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