もう君がいない
私も、お母さん達に並んで横になった。
子どもの頃は広く感じたテントも、今では小さく感じた。
テントのとんがりも低くて。
「茉菜も大きくなったから、テントも狭く感じるわね。」
「うん。」
「昔はあんなに広かったのにね。」
「茉菜ちゃんも蓮も、もう高校2年生だものね〜。大きくなったわね〜。」
お母さんもおばさんも、同じように感じていたみたいで、テントの中はしんみりした雰囲気になった。
私は、お母さん達の話に、そっと耳を傾けて黙って聞いていた。
「こんなキャンプだなんて、本当に久しぶりよね〜。」
「私達がアメリカに居たから、離れてたものね〜。やっと戻ってきたことだし、今年のうちに、またたくさん思い出作りたいわ。」
この、おばさんの¨今年のうちに¨って言葉が、一瞬気になったけど、
「そうね〜。来年は二人とも受験で忙しくなるものね〜。」
って言う、お母さんの言葉で、納得した。
おばさんの言葉の中にある、本当の意味を知るのは、もっと後のことだった。