相棒の世界
- 旅立ち -




ーーー荷物は全部まとめ終わった。



ハカゼのばばあが薬を持ってけって言うけど、あの匂いは好きじゃないからこっそりと置いていくことにする。




「おや、どうしたんだい?」



ビクッ!



薬を戸棚に戻そうとした時、ふと後ろから聞きたくない声が聞こえてきた。



恐る恐る後ろを振り向く。



「ハ、ハカゼ…」



ハカゼは全てお見通しだ、といった顔で俺をニヤニヤと見つめてきた。



「いらないのなら持たなくていいさ。実は私もこの匂いはあんまり好きじゃあなくてねぇ」



「え?」



ハカゼは俺の手からそっと薬を奪うと、またニヤリと笑った。




「これはニカに持たせるよ」



「っ…」





やっぱ持たせるんじゃねーか。






< 501 / 506 >

この作品をシェア

pagetop