相棒の世界




リュックサックを背負うと、俺は扉を開けて表に出た。



「遅いぞ、ハーツ」



「っ!」



途端に聞こえた声に顔を上げる。



そこにはーーー



「…ニカ姉さん」



大きなリュックサックを背負い、片手の指で銃をクルクルと回しているニカ姉さんが立っていた。



「お前、もう12になるんだろ?そんなグズでいいのか?」



「っ…うるさい」



ニカ姉さんはいつも俺に悪態をついてくる。



口が悪いし、意地悪だし、どうして姉さんと一緒に旅に出なくちゃいけないのか、正直分からない。



俺一人だって旅に出れるっていうのに。




「まあいい、早く出発しないと3日後までに鼠のもとに着かない。お前はグズな上に歩くのが遅いのだから早く行くぞ」



「っ…分かったよ!うるさいなー」



ドシドシと足を進め、ニカ姉さんの隣に立つ。



ニカ姉さんは俺よりちょっとだけ背が高い。



俺が抜かした時には絶対に姉さんを上から踏み潰してやるんだからな。





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