【詩的小説短編集】=想い=
見つけた

俺はその時たしかに退屈していた。


社運をかけた会議だからと言われ、次期社長の俺はしぶしぶ参加することにしたのはよかったのだが……。


つまらない話を聞くのは、勉強どころかあくびしか出てこない。


でも企画部のプレゼンが始まった時に俺の退屈は興味に変わった。


『この声………』


その時聞こえてきたのは女の声で、とてもハスキーかつセクシーな音は耳にとても心地よかった。


『この声、ベッドの上じゃどんなふうになくんだろ』


そう考えたら、俺の欲望は止まらなかった。


つまらないからと下を向いていた顔を上げ彼女を見すえた。


短めの髪にしつこくないメイク、カチッとしたパンツのスーツがやけにハマっていた。


ジジィどもに囲まれた彼女が天使に見えた。


「どうだ、いい女だろ?お前みたいな男には、なびかないだろうな」


隣りに座る親父がそう耳打ちするが、そんな言葉も耳に入らないくらい俺は彼女に集中していた。

彼女が動く度に視線をずらし、一秒たりともその姿を逃さない。


少し開いた胸元からこぼれ落ちそうな女の象徴がのぞいるのがわかった。

その瞬間、俺の中で彼女は少しづつ肌を見せ始め、憐れもない姿になっていった。



『絶対、落としてやる……』



時折、顔にかかる髪をかきあげる仕草がさらに俺の欲望に火をつけた。


「親父、彼女誰だ?」


先程の忠告など頭になかった俺は、隣りに座る社長である親父にそう尋ねた。


「あ?お前、さっきの忠告を聞こえなかったのか?」


親父は呆れながら続けた。


「あれは、うちの会社のホープで企画部の佐倉 千涼(サクラ チスズ)だ。お前が手の負える女じゃないぞ」


やはり最後の忠告なんて耳に入らず、佐倉 千涼と言う名前を繰り返し口の中で呟いた。


「絶対、俺の女にしてやる……」



そして、その日から彼女を徹底的に知る手段に出た。


そんな俺を黙って見ていた親父が、彼女の何かを知ってると気がついたのは、彼女との接触に成功したずっとあとのことだった。



=fin=

残念ながら続きません。



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