魔法使いの一日


ピピピピピピピピ……ッ 


朝。
何時もの時間にセットしてあった目覚まし時計が、時間通りに鳴りだす。


私は唸りながら目覚まし時計を止め、窓のカーテンを開けた。カーテンを開けた瞬間に飛び込んでくる朝の日差し。今日もいい天気。そして絶好の洗濯日和。


私は一度背伸びをすると、パジャマから普段着に着替えて下に降りていった。


下に行き、朝食の準備をし始めてから暫らくすると、欠伸をし眠たそうに目を擦っている少年がやってきた。


「あっ……おっおはよう」

「おっおぅ……」


どことなくぎこちない私達。いや、どことなくどころじゃないんだけど……。


あの事件(?)から3日。あれ以来私達はギクシャクしっぱなし。少年なんて私に近づこうとすらしない。


「ごっご飯、もうすぐでできるからもう少しまっ」

「今日は、いらねぇ」


私が最後まで言い終わる前に、少年はそう呟くと自分の部屋に戻っていった。


「はぁ。こんなのいつまで続くんだろ……」


やっぱりまだこの前の事を怒っているのかな。でも、本当のことを言っただけであそこまで怒ることは無いと思うけど……。


少年にとっては、「魔法使い=手品師」って考えなのかな。だったらちょっと悪いことを言っちゃったかな。……よし……後でちゃんと謝ろう。


こうして、私の『少年に謝ろう作戦』が始まった。

あ、言っとくけど作戦なんて何にも考えてないからね。







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