甘いペットは男と化す
「あれま……」
一通り話し終えると、早苗は口をあんぐりと開いたまま、漫画のような一言。
「あれま」って……。
「まさかアンタが、少年をペットとして拾っていたとは……」
「そこだけ拾い上げるのはやめてくれる?」
「事実でしょ。でも好きになったってことは、ペットから男へと昇格か」
「だから……」
もしかして、相談する相手間違えた?
話してしまったことを少しだけ後悔していると、早苗がようやく真面目な顔つきになって口を開いた。
「でも急にいなくなるなんて……薄情だね」
少しだけ怒りが含まれた声色。
きっとそれは、あたしを想っての感情。
何も言い返せなくて、自分に苦笑した。
確かにたとえ過去の記憶を取り戻したとしても、何かしらのお礼や謝罪の言葉が欲しかった。
大事な人がいるとか、面と向かって言ってくれれば、悲しいけどちゃんと失恋できた。
だけどそれすらも出来ない自分は
いつまでもケイが心の中を侵食している。
早苗はグラスに残っていたビールを飲み干すと、ひらめいたようにドンと机の上に置いた。
「もしかして……
朱里に言いにこれない状態なのかも……」
「え?」
その言葉に、首をかしげた。