甘いペットは男と化す
 





「あれま……」


一通り話し終えると、早苗は口をあんぐりと開いたまま、漫画のような一言。

「あれま」って……。


「まさかアンタが、少年をペットとして拾っていたとは……」
「そこだけ拾い上げるのはやめてくれる?」
「事実でしょ。でも好きになったってことは、ペットから男へと昇格か」
「だから……」


もしかして、相談する相手間違えた?

話してしまったことを少しだけ後悔していると、早苗がようやく真面目な顔つきになって口を開いた。


「でも急にいなくなるなんて……薄情だね」


少しだけ怒りが含まれた声色。
きっとそれは、あたしを想っての感情。

何も言い返せなくて、自分に苦笑した。


確かにたとえ過去の記憶を取り戻したとしても、何かしらのお礼や謝罪の言葉が欲しかった。

大事な人がいるとか、面と向かって言ってくれれば、悲しいけどちゃんと失恋できた。

だけどそれすらも出来ない自分は
いつまでもケイが心の中を侵食している。


早苗はグラスに残っていたビールを飲み干すと、ひらめいたようにドンと机の上に置いた。



「もしかして……
 朱里に言いにこれない状態なのかも……」


「え?」



その言葉に、首をかしげた。
 
< 139 / 347 >

この作品をシェア

pagetop