甘いペットは男と化す
 
「え?」


その言葉に、あたしが不思議に思って顔を上げる。

相内先生は、目を大きく見開き、唇が微かに震えていた。
自然とケイへと振り返ると、同じようにケイが相内先生を見て、身動き一つ出来なくなっていて……



ああ、どうしよう。
聞かなくても予感してしまった。



ケイのその表情で
いったいこの人が誰なのかを悟ってしまう。


どうしてあたしは、数たくさんある英会話教室の中で
この場所を選び、この先生を選んでしまったんだろう。


どうしてもっと注意深く、相内先生の名前を気にしていなかったんだろう。


相内先生……

相内沙樹先生……。


彼女は……




「………………サキ……」




ケイの元恋人である

沙樹さんだ。

 
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