甘いペットは男と化す
18章 隠された秘密
 
一瞬にして、
二人の時間が止まったように感じた。

絡み合った視線は、誰の邪魔も許されることがないほどで……。


だけどそう思っていたのは、ほんの少しの時間。


「久しぶりだね!景」


相内先生は、にこりと微笑むとケイへと挨拶をしていた。

その声が、あまりにも明るかったので、一瞬にして気が抜けた。


あれ……?
この二人、実は結構あっさりと別れてたの?


そう思って、ケイへと振り返ると、


「……」


ケイの口は固く結ばれ、怒りが含まれているようにも見える。


悲しげな顔でも
未練が残っているような顔でもない。

ただ相手を憎んでいるような……そんな怒り。



「……アカリ。行くよ」
「あ、ちょっとっ……」



ケイは相内先生へと何も話しかけることなく、一人背を向けて駅へと歩き出してしまった。
 
< 257 / 347 >

この作品をシェア

pagetop