甘いペットは男と化す
20章 初対面
 
「どういうことですか?!」


メールを見て、思わず駆けこんだ社長室。

ここに入るのは、この間警告を受けた日以来だ。

あの日から、ケイとの関係を切るつもりはなかったから、いつか辞職せざるを得ないとは思っていたけど、一度は延ばされた話。
だからいきなりこんな辞令を出されるなんて、思ってもみなかった。


「どうもこうも……北島くん、まだ向こうのご子息と絡んでいるみたいじゃないか」
「それはっ……向こうもとりあえずはいいって……」
「エスカレートして、ストーカー行為にまで及んでいると聞いたよ」
「なっ……」


ありえない返しに、言葉も失う。

ストーカー行為?
あたしがケイに?


「わが社としても、ストーカー行為をするような人材を置いておくわけにもねえ……」
「そんなことしてません!」
「事実よりも、向こうがうちとの関係を今後どうするかのほうが優先なんだよ」
「…っ」
「悪いね、北島くん……。
 君は入社当初からずっと勤めてもらっていたのに……。
 退職金もきちんと用意するから、今回はこの辞令をのんでくれ」
「……もう…いいです……。失礼しました」


これ以上話しても無駄だということを悟って、社長室から出た。
 
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